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邦訳:鑑定士と顔のない依頼人

「鑑定士、批評家に何がわかる」

彼らの纏う出処不明のプライド、傲慢さで出来た視界不良の鎧に対し、頭から湯水を被せる、そんな意志を感じる。

世のありとあらゆる至上の一作、肖像画という至上の女性を超える生身の女。

それは今まで馬鹿にして一切の興味さえ示さずに利用し続けてきた、無名作家のでっち上げた一枚の肖像画、贋作の女だった。

しかし彼はその肖像画を捨てずに贋作の女と住む筈だったヴィラの壁に飾り(あれ、立て掛けてただけだっけ?)、彼女と訪れる筈だったレストランでは、二人分の席を取る。

贋作の中にも本物はある。そう想い出しながら。

彼は悟ったのか。自身が生涯を捧げた、真贋という線引きの無意味さを。

若しくは知っていたのかもしれない。

ただ、それを意味とともに、本質としてようやく呑み込めたのが、全てを失った後だったというだけだ。

これ撮った方、かつてぼろ泣きした、ニューシネマパラダイスの監督でした。

ジュゼッペ・トルナトーレさん。

海の上のピアニストは未だ観てないので、目下楽しみで御座います。

そういや贋作って聞くと、私の中ではトスカーナの贋作って作品が浮かびます。

また観たいって思えるものです。おすすめですよ。


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